県政研究報告

2020年5月10日 (日)

滋賀自治体問題研究所が、自治体の「議会活性化に向けた提言」を発表しました。

「議会活性化に向けた提言」概要

                                               滋賀自治体問題研究所

第一は、県および 13 3 町ですでに制定されている議会基本条例の運用状況の評価についてです。評価を行い公表しているのは長浜市と米原市だけであり、議会改革の基本となる課題であるのですべての自治体で評価、公表を行うべきです。その際、住民の参加や住民意見を取り入れる努力が必要です。

第二は、駒林教授が今後の課題として強調された政策づくりとそのための議員力・議会力の向上についてです。政策づくりの方法としてモデルとなるのは大津市の政策検討会議などがありますが、多くの議会では「とてもあそこまではやれない」というのが実感だと思います。しかし、それぞれの実情にあった政策協議の場をつくることは可能であるはずですし、それを行うための個々の議員の力を向上させながら議会全体の力を向上させること、すなわち議会全体がそうした政策づくりを行えるようになることを目標とすべきです。

第三は、議会運営において住民参加を拡げる努力についてです。議員は住民の代表ではありますが、議員だけですべての課題を適切に処理することは困難であり、住民の協力をもとめるべきです。議会運営における住民参加の形態は以下のような様々なものが想定されますが、それぞれの議会に適したものを取り入れることが重要です。また、その形態については、それぞれについて住民参加がすすむよう独自の工夫することも必要です。

① 議会モニター、サポーター制度の導入について検討すべきです。その選任については公募を基本とし、地域でその存在や役割が認められるような措置が必要です。

② 住民議会を様々な人で構成することについて検討することも重要です。小学生による子ども議会は各議会において実施されており、それなりの役割が発揮されていると言えますが、中高生や階層・年齢別・性別・テーマ別、あるいは障害をもった人たちなどの住民議会に拡大していくことも重要です。そして、そうした住民議会での議論の成果を政策として実現することを議会の役割の一つとすることが重要です。

③ 大学などとの連携も議会力の向上につながる可能性をもっていると言えます。多くの自治体で大学との連携協定が締結されており、その協定を議会活動にも拡大することにより、大津市のように政策づくりにおいて支援を受ける事例や、彦根市のように相互に活性化をはかるというように様々な形での連携を図ることが可能になると思います。

第四は、専門的知見の積極的な活用です。本調査で事例として取り上げた彦根市の百条委員会、甲賀市の政治倫理審査会などはもっと専門家の意見を取り入れながら進めていくべき課題であったと思います。

第五は、議会報告会のあり方です。これについては、いろいろと試行錯誤され、文字通りの報告会では、首長側の報告と変わらないとしてやめているところもあるようですが、逆に、住民の意見を聞く点に力をいれて取り組みが行われているところでは、継続しているようです。住民の声を聞いて、どう政策に反映していくかが大きな課題であるといえます。

第六は、二元代表制のもとでの議会の役割をしっかりと発揮することです。首長側に迎合せず、住民の立場にたって行政をしっかりチェックしていくことが重要です。

第七は、議会広報についてです。米原市では、まず、住民の目を引き付ける工夫として議会だよりを週刊誌の見出し風にしたキャッチ面を作成しているということが紹介されました。議会活動を住民に知らせる広報の改善はそれぞれの議会の特色をだした改善を積み重ねていく必要があります。

第八は、大規模合併が行われ議員定数が削減された結果、いわゆる地域の代表が選出しにくくなっているという問題があります。総務省の研究会では、選挙区の導入なども提案されていますが、一長一短があります。この問題については拙速に結論をだすのではなく、住民の声が反映される議会づくりの課題として住民の合意がえられるよう慎重な検討が求められます。

第九は、Q201)で示されているように、守山市と甲賀市、日野町など、全議案に関する個々の議員の賛否を公開していない議会が 2 3 町ありますが、これは早急に改善されるべきです。議案の議決は議会の最大の仕事であり(決定権)、議案に関して個々の議員がどのような態度をとったかを市民に知らせるのは、議員の説明責任の論理から当然のことであり、議会の義務です。市民との議会情報の共有があってこそ、市民の協力と参加を得ることができるのですから、議会改革の大前提と言えます。

 ※ 報告全文は、事務局へ連絡願います。

 

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滋賀自治体問題研究所が「国体・県財政問題での提言」と報告を発表しました。

滋賀自治体問題研究所は、2 月25 日、「滋賀県財政の状況をふまえた 2024 滋賀国体に関する提言」を発表しました。これは、日本共産党滋賀県議団から委託を受け、立命館大学政策科学部の平岡和久教授の協力を得て、国体と県財政問題についての調査結果をとりまとめたものです。提言の構成は、自治体財政をめぐる状況と 2024 滋賀国体についての調査を通じて明らかになった事項の報告と提言となっています。

以下では提言の部分だけを紹介します。

「滋賀県財政の状況をふまえた 2024 滋賀国体に関する提言」

                                滋賀自治体問題研究所

①全国知事会の緊急決議(平成 14 12 19 日)の「過剰な設備や運営を厳に慎む」という考え方や滋賀国体の基本方針で掲げられた「既存施設の有効活用や、大会運営の簡素化・効率化の徹底」を文字通り実践する立場にたち、国体優先から、県民生活優先の姿勢に転換

すること。

②現在発生している財政的困難さや県民生活へ影響、あるいは今後発生する恐れのある影響などを県民に対してきちんと説明すること。また、競技団体を含めて関係者のなかで財政問題の認識の共有化を図り、事業費が適正なものとなるよう改めて協議を行うこと。

③主会場である彦根総合運動公園の契約手続きが進行中であるが、第 1 案として、手続きを中止し、前回の実績があり、最も安価で開催が可能となる皇子山陸上競技場での開催に変更し、経費の大幅削減を図ること。これにより、違約金を支払ったとしても、多額の経費削減につながることが期待される。

1 案は大きな困難が予想され、現時点では手遅れの感があるので、第 2 案として、文字通り簡素な陸上競技場として設計変更を行うことを提案する。たとえば、サブグラウンドはできるだけ簡略なものにする、競技場の屋根は大幅に縮小する、観客席を縮小する、彦根城と陸上競技場 2 階部分を結ぶ連絡橋の中止、などである。

④全体のウェイトは大きくないが、開催経費、競技力向上対策費は前例にとらわれることなく大胆に削減すること。

⑤財政面からの国体のあり方の見直しについて

1)財政規模、人口規模の差を考慮にいれず、基本的にすべての競技を 1 県でになうというやり方に無理があり見直すこと。

2)県民的にみても違和感がある開催県が1位になるという国体の実施方法を見なおすこと。

3)市町を含めて、全体として、財政力、体制に見合った事業規模にすること。

4)事業費が際限なく膨らむことを防止する仕組みを導入すること。

5)国体を契機とした予算獲得、施設整備というやり方を改めること。

6)競技団体の最新基準を機械的に導入した施設整備のあり方を見直すこと。

PFI 手法が(仮称)草津市立プールと県立体育館(滋賀アリーナ)に適用されているが、PFI発祥の地イギリスでは、PFI は従来手法に比べて決して安くないという評価が定まっていることを踏まえて不透明な以下の諸点について分析、検討を行うことが望まれる。

1)VFM 算定において不透明な構造がありこれを改めること。

2)事業終了後は PFI 事業の継続は想定されておらず、事業終了後の発注者側のリスク負担が大きくなる想定されること。

3)公の関与が少なくなるという問題点を検討し、解決の方向をさぐること。

4)PFI 事業を理由に従来の人員体制の削減を行わないこと。

⑦国体終了後、残務整理などをして推進体制は年度内に解散ということになると想定されるが、財政運営上の問題や、今後の国体のあり方などについて総括を行うこと。

⑧市町が行う国体関係事業費の全体像については、福井県、三重県でも把握されていなかった、または把握の予定がなかったが、国体の総括を行う上では、県からの補助金だけでなく、市町の全体事業費の把握も行うべきである。

※「報告書全文」は事務局へ

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2017年1月 4日 (水)

「琵琶湖保全再生施策に関する計画」(案)に対する提言(案)を公表

県が今年策定する「琵琶湖保全再生施策に関する計画」(以下、計画という。)に対する提言を当研究所も参加して検討を進めてきましたが、今回、県の計画案に対して、琵琶湖総合開発の総括に立脚して琵琶湖の生態系に重大な影響を及ぼしている水位操作規則や湖岸堤のあり方見直しが必要であることなどを含む提言を取りまとめ県に提出する予定をしています。

琵琶湖保全再生施策に関する計画(案)に対する提言(案)「1.docx」をダウンロード

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2016年10月 4日 (火)

第1回琵琶湖保全再生施策研究「琵琶湖漁業から見た琵琶湖の生態系」

 県が今年度中に策定を予定している「琵琶湖保全再生計画」に対する提言づくりをめざす第1回研究会が97日、大津市内で行われました。この研究会は、滋賀自治体問題研究所と琵琶湖の水と環境を守る会とが共同して設置したものであり、第1回研究会では、元水産試験場長の藤岡康弘氏から琵琶湖漁業からみた琵琶湖の生態系保全について問題提起を受けました。

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【藤岡氏の問題提起】

 現在の琵琶湖の漁獲量は、明治時代の年間1000t程度からピークは3800tを経て現在1000tを切る状況となっている。量的には、同じ1000tでも、魚の種類は全く異なってきている。以前は、多種多様な魚がいてそれをとっていたが、現在は、アユが7,8割を占めている。高度成長の時代は、富栄養化の進行という問題が表面化してきたが、魚の餌となる動物プランクトンが増えたためか、漁獲量は増えたし、とった魚も売れた。

 漁獲量の変化という点で特徴的なのは、1990頃を境にすべての魚の漁獲量が減ったことがあげられる。その頃何があったか。1992年に水位操作規則の変更が行われ、それまで±mを基本にして水位操作が行われていたものが、非洪水期は+0.3m、洪水期は-0.2m-0.3mにされた。特にモロコは、非洪水期から洪水期へ変わる時期に産卵するので、0.5mもの水位低下により卵が日干しになるなどの打撃を受けている。また、0.5mの水位低下は産卵場所の大幅な減少をもたらしている。人工的な水位操作は世界的にも問題になっているが、核心に迫る検討結果はない。現在の操作規則のどこがどう悪いのか明確に提言できない状況だが、十分な検討が必要な課題だ。

 内湖もかつての面積の15%に減少している。内湖の重要性は多くの研究者が指摘しているところだが、琵琶湖の生物相にどう影響しているのかは誰も検討していない。内湖の復活を進めるうえでも検討すべき課題のひとつだ。

 湖岸堤も琵琶湖と陸域を分断しており、私は国の委員会で湖岸堤の一部を撤去して湖岸堤の評価をきちんとすべきという提言を行っており、それは議事録にも残されている。湖岸堤の評価についても重要な検討課題の一つだ。

 琵琶湖の健全な生態系を保持するうえで、栄養塩とくにリンが北湖において足りなくなっているという指摘がある。どのように制御できるのか、すべきなのかについても検討すべき課題だ。

 水草の問題は、たとえば西の湖では、かつては水草でいっぱいだったが今は全くない。琵琶湖も今年は少ないようだが、レジームシフトと言って、気温や風などの気候要素が数十年間隔で急激に変化する現象なのかもしれない。

【今後の予定】

琵琶湖保全再生計画に関する学習会 914日(水)13:30~県庁北新館5C会議室

琵琶湖河川事務所へのヒアリング  9月末で日程調整中

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「琵琶湖保全再生施策研究」に係る琵琶湖環境科学研究センター学習会報告




琵琶湖環境科学研究センター学習会

 

日時 2016928日(水)10:0012:00

場所 琵琶湖環境科学研究センター会議室

出席 センター:内藤センター長、谷口副センター長、田中環境監視部門長、早川総合解析副部門長、田中係長

   琵琶湖の会、自治研:西田、中江、吉川、佐々木、松本、瓜生

 

【内藤センター長あいさつ】

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 1982年に琵琶湖研究所が設立され、時代の要請に応える形で改組を行ってきた。最初の改組2005年に当時の環境衛生センターの環境部門を統合して琵琶湖環境科学研究センターとしたこと、さらに2014年には、森林センターを当センターに移管するとともに、8つの県の研究機関の連携組織として「滋賀県琵琶湖環境研究推進機構」を設置した。この研究機関の連携組織はよそではなかなかできていないことで、その成果が期待されている。さらに、来年度にむけて、地方創生の一環として、国の研究機関の分室が10名規模で設置される見通しとなっている。

 

【谷口副センター長概要説明】

 経過についてはセンター長のあいさつのとおり。研究成果については、マザーレイク21計画等県の計画に反映されている。当センターは3年ごとの中期計画を策定しており、現在は今年度までの第4期の計画を進めているところ。計画では、行政の課題解決をめざしており、4(現在)の重点研究プロジェクトとして、水系・生物の「つながり」の再生に関する研究を行っている。具体的には、琵琶湖の在来魚介類のにぎわいの復活をめざすものであり、魚のエサの環境、魚(アユ)が卵を産む環境として森から川に砂が供給されなくなっている問題、人工護岸により泥がたまってしまう問題、等々について現状評価、対応策について検討を行っている。

 国立環境研究所の分室については、地域環境研究センターと生物・生態環境研究センターの2部門からの派遣をお願いしており、魚の餌の問題等国に期待している。

 

【早川副部長】

 ~琵琶湖の水質メカニズム解明調査の到達点について~

 琵琶湖の水質保全対策としてこの間、流域からの窒素、りん、COD等の負荷量削減に取り組んできたが、環境基準のCODは漸増ないしは横ばい傾向で改善はみられていない。この原因について、①陸域由来説,②内部生産由来説,③汚濁機構変化説という仮設について調査を行ったところ,①や③が主な要因となって増加した根拠は見いだせず,主に②の内部生産由来が原因で増加してきた可能性が高いと考えられた。すなわち、琵琶湖水中のCODの約6割は難分解性のものであり、その多くはプランクトン等の生産活動に由来していること、また、プランクトンのうちでも粘質ショウをもつものがCODのもとになっているらしいことがわかってきた。

 琵琶湖の環境基準は1mg/Lであるが、これを守るためにはさらに栄養塩を削減しなければならない。CODの環境基準を守るということは、とりあえず脇に置き、物質循環がどうなっているのかという点に重点を置き調査を進めている。

~地球温暖化の琵琶湖での表れ~

 県の平均気温は上昇しており、それにつれて琵琶湖の水温も少しずつ上昇してきている。その影響としては、循環の時期が遅れることが考えられる。生物にとって水温が1度上昇するということは大変なことだが、水質への影響を含めてよくわからない。今後の課題だ。ただ、現状とくらべて悪化していく方向だ。

 

【質疑】

Q1.塩化物イオンが増えていることについてどう考えるか?

A. 塩化物は、人間は塩分を摂取しており、排泄にともなうこと、また浄水処理、下水処理に塩素が用いられていること、また冬期の融雪剤などが発生源であり、人間活動の増大にともない、琵琶湖における塩化物は直線的に増加している。有機汚濁とは直接関係しない。

Q2.水道水源として、CODの達成が求められているはずだが。赤野井湾はCOD6mg/L程度であるがどう考えるか?

A. 浄水操作のレベルに応じて水道1級、2級、3級が環境基準との関連で定められている。湖沼の場合は水道3級でCOD3mg/L以下とされており、赤野井湾は水道水源としてはふさわしくないということになる。

Q3.砂の供給は具体的にどういう方法が想定されるのか?従来の河川管理の考え方と矛盾するのでは?

A. たとえば、ダムにたまった砂をダムの前で流すことなどが想定されるが、適度な粒径も要求されるし、河川管理との調整も必要だ。

Q4.魚のエサ環境の改善はどういう方法が考えられるか?

A. 動物プランクトンのエサとなる植物プランクトンが少ないという問題であり、栄養塩が足りないということになる。湖内の栄養塩をどう利用するか。

 

【事前質問事項への回答】

1.内湖の評価の役割の科学的評価について

現在は内湖の調査は行っていないが、「内湖からのメッセージ」(2005年、西野、浜畑編、サンライズ出版)などで調査結果がまとめられている。内湖の特徴としては、①内湖の生物は多様であるが、個々の内湖それぞれの多様性を有していること、②また、人間が手を入れる必要があること、③陸域の水の緩衝地帯となっていること、滞留時間はながくないこと等である。水質浄化機能という点でみると、浄化機能は高くないと評価され、内湖で生産され、増加した有機物が琵琶湖に流入するという面も持っている。

2.湖岸堤の評価について

 湖岸堤については研究されていない分野だ。湖岸堤の前にヨシの植栽をしているが、無理矢理で健全な生態系とはいえない。湖岸堤を撤去しての評価は新たな問題を発生させる恐れがある。

Q5.重点プロジェクトのなかで人工護岸と自然護岸の比較、評価を行っており、その結果を適用すべきだ。

A. 湖岸堤をいきなり撤去するのではなく、人工護岸を自然護岸に変えていくという対策案はあるかもしれない。

3.生態系に配慮した水位操作について

 フナとコイの産卵についてシミュレーションを行い、水位操作の改善方策を琵琶湖河川事務所にその結果を伝えた。モロコの場合は多産卵で効果が不明。水位操作変更の効果については確認できていない。

4. 栄養塩の制御について

 窒素とりんのバランスがくずれているという問題意識をもっている。その結果、アオコが出やすくなるといわれている(異論もあるが)。北湖ではりんが制限因子であるが、窒素は制限因子となる期間もある。とくに植物プランクトンのデータについて統計解析を行い、栄養塩との関係を探っていく予定だ。

5. 水草について

 刈り取ったものの有効利用を検討している。異常繁茂は困るが適度な水草は必要だ。

 オオバナミズキンバイは初期の爆発的増殖の押さえ込みに失敗した。希少種を守るための取組が必要だ。

 

6. 今年のアオコについて

赤潮はなくなったが、アオコは水のよどんだところで毎年発生してきている。とくに今年は、春先の水温が高く、9月の前半まで雨が降らない状況が続いたのでアオコにとって好条件となっていた。企業庁馬淵浄水場でカビ臭が問題になったが、西野湖で発生したオシラトリアによる2MIBというカビ臭物質を取り込んだことが原因だ。従来カビ臭問題があまり発生しなかった水域であるため浄水場側の対策も不十分な面があった。改善について企業庁とともに検討している。

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